【#19】シューズデザイナーとしての苦い思い出

【#19】シューズデザイナーとしての苦い思い出
姉からSellenatelaを引き継ぎ今年の7月で10年が経ちました。靴に携わるようになってからは20年弱が経ちます。ずっと「靴」を見つめていましたが、一昨年Perfumeさんの衣装シューズを手がけたことがきっかけで「靴」だけでなく「足」について考え始めました。

 

彼女たち3人の足は皆24cm前後のサイズ感。この時は製作期間が短いこと等の理由から、同じデザインのブーツを24cmで3足つくることになりました。ダンスパフォーマンスが魅力の彼女たちの靴ということもあり、実際に足を見させていただいたり手持ちの靴でフィッティングもさせていただきました。

 

その時デザインをしたブーツ 

 

出来上がったブーツは衣装にマッチしていて好評。ただ、ダンスをするには足入れが不安定とのことで結局1回だけ収録に使用し、その後彼女たちがそのブーツを履いているのを見ることはありませんでした。

 

これはシューズデザイナーである私にとって、すごく苦い経験です。もちろんダンスシューズというのは特殊なものですが、例え製作期間が短くても受けた仕事に対して完璧に応えたかった。信頼して依頼してくださった皆さまに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

彼女たちの足を見た時にそれぞれの足の特徴を理解したつもりでいたけれど、あの時もし私が足を正確に計測することが出来ていれば、もしかしたら違う木型を選んでいたかもしれない。そもそも24cm前後だから24cmということ自体、曖昧過ぎたのだ。そんな思いが渦巻きました。

 

どうしたらシューズデザイナーとしてもっとプロフェッショナルな仕事が出来るのか。そこで行き着いた答えが、足型計測の技術を身に付けデータを取ることと、足と靴の関係にについて深く学ぶことでした。そこで、計測技術を身につけるためにまずシューフィッターという資格を取ることを決め、直ぐに講習に申し込んだのでした。

シューフィッターは、ヒアリングや触診、足型計測をしたうえでお客様の足の情報を正しく把握し、靴の専門知識と掛け合わせ、その方の足に合うシューズを提案するための資格です。販売員の方が取ることが多い資格ですが、この講習を受けたことが私のデザイナー人生を大きく変えるきっかけとなるのでした。

 

次回へ続く