【#15】SHOE CARE のすすめ vol.2
前回の「SHOE CARE のすすめ vol.1」に続き、今回は、Sellenatelaのシューズによく使う素材ごとのシューケア実践編です。まずは、スムースレザーなど比較的扱いが簡単なレザーに対する基本的なシューケアの方法から。
− 基本のお手入れ −
1. 靴全体のブラッシング/または乾拭き
靴ブラシで靴全体をブラッシングして汚れや埃を落とします。レザーシューズの汚れ落としのブラッシングには、しなやかな馬毛ブラシがおすすめです。
ブラシを持っていない方は、乾拭きで汚れを落としましょう。ウェス(ケア用の布)を持っていない方は、端切れや使わなくなった洋服などでも代用できますが、レザーの表面が傷つかないよう滑らかで柔らかな素材を使ってください。
2. クリーナーやステインリムーバーで汚れを落とす
ブラッシングや乾拭きで落ちない汚れがあれば、レザー用のクリーナーやステインリムーバーで汚れを落とします。デリケート素材でなければ、汚れを落とす成分と、保湿、栄養補給成分が一体になったレザーローションと呼ばれるタイプが便利です。
女性のスキンケアで言う、クレンジングと化粧水、乳液が一体になったオールインワン化粧品のような存在。忙しい現代の方々におすすめです!
3. 保湿・栄養補給をする
前述のレザーローションや、保湿や栄養補給を目的としたシュークリームなどをウェスに少量取り、薄く塗っていきます。レザーとクリームの相性によっては染みになってしまうこともありますので、目立たない内側部分で必ず試して問題がなければ、全体に馴染むように塗り込んでいきます。
4. 補色をする
擦れてレザーの色が薄くなった箇所にカラークリームを薄く塗っていきます。いわば補色は女性のお化粧のようなもの。全体が綺麗に見えるよう仕上げてください。
5. 靴全体のブラッシング/または乾拭き
もう一度ブラッシング、または乾拭きでクリームを馴染ませます。仕上げ用にはコシのある豚毛のブラシがおすすめです。
カラークリームを塗った後にブラッシングをすると、クリームの色がブラシに色移りすることがあります。レザーの色ごとに、または薄い色・濃い色などでブラシ(またはウェス)を使い分けると綺麗な状態が保てます。
6. 防水スプレーを吹きかける
新しい靴を下ろす前にも防水スプレーを使用することをオススメしていますが、ケアの最後にも使用することが大事です。(撥水加工ガラスレザーを除く)
防水スプレーはシリコン系とフッ素系の2タイプがあり、天然皮革には、通気性が高く、繊維に浸透して効果を発するフッ素系がおすすめです。ただし、レザーと防水スプレーには相性がありますので、必ず素材に合ったものを使用してください。
防水スプレーは、雨などの水分を浸透させないだけでなく、埃や汚れの付着を防ぐ効果があると言われています。使用する頻度は、最低でも月に一回。靴の表面についた汚れや埃、古いクリームなどを落とした綺麗な状態に防水スプレーを吹きかけることで効果が出ますので、月に一度のお手入れが理想です。
− SMOOTH LEATHER −
スムースレザーと呼ばれるのは、レザーの表面を滑らか(スムース)に加工したもの。Sellenatelaではよく、ステア(成牛革)やキップ(中牛革)、カーフ(仔牛革)のスムースレザーを使用しています。
【お手入れ方法】- HELENA BLACKのようなキップのスムースレザー編
表面が均一なスムースレザーの場合は、扱いが簡単です。基本のお手入れ通りにケアしてください。
【お手入れ方法】- KYLE CAMELのようなカーフのスムースレザー編
KYLEに使用しているカーフは、フルタンニン鞣しと呼ばれる、植物由来の水溶性の成分を使いレザーに仕立てた繊細な素材です。
表情が繊細なデリケート素材の場合は、基本のお手入れの際に、シダーウッドオイルやミツロウ、ラノリンなどの栄養価の高い成分が配合されたクリームでお手入れをすると、艶が戻り美しい表情が持続します。レザーローション一本でお手入れをするのではなく、シュプリームクリームやデリケートクリームなどでお手入れをすることをおすすめしています。
− WATER REPELLENT LEATHER −
撥水レザーと呼ばれるのは、革を鞣す段階で撥水溶剤につけこみ撥水加工を施したレザーです。Sellenatelaでは、ロングセラーアイテムNOA BLACK RAINやGINA BLACK RAINに使用されています。
【お手入れ方法】- NOA BLACK RAINのような撥水加工ガラスレザー
Sellenatelaオリジナルの撥水レザーは、表面にガラス加工を施しています。ガラスレザーは、鞣した後にガラス版に張り付けて乾燥をし、表面に合成樹脂で塗装をし光沢を出したものです。
撥水加工ガラスレザーのお手入れは簡単!
靴全体の汚れは乾拭きで拭き取り、それでも落ちない汚れが付着している場合は、水溶性のステインリムーバーを使い汚れを落とします。
ガラスレザーの表情を綺麗に維持するために、強くブラッシングをしたり、有機溶剤が入ったクリーナーを使用するのは避けましょう。撥水加工が施されていますので、防水スプレーも必要ありません。
− SUEDE LEATHER −
スエードは、レザーの裏面をサンドペーパーなどで細かく起毛させたレザーです。
カーフ(仔牛革)やピッグ(豚革)、シープ(羊革)やゴート(山羊革)など小さいサイズのものが多く、その中でも毛足が短く、質感が綺麗なシープシルキーと呼ばれるスエードをSellenatelaではよく使用しています。
【お手入れ方法】- LOU LOU PURPLE のようなシープシルキー編
シープシルキーのお手入れ方法はブラッシングで汚れを落とし、それでも取りきれない汚れが付着している場合に、スエード専用のクリーナーブラシを使って汚れを落としていきます。
汚れが落ちたら、スエード専用の栄養補給・防水スプレーをし、豚毛ブラシで毛並みを整えて出来上がり。防水効果をより強めたい方は、最後に防水スプレーをもう一度塗布してください。
− EMBOSSED LEATHER −
型押しレザーと呼ばれるのは、プレス機で熱をかけながら型押しをし革の表面に凹凸で柄をつけたものです。
Sellenatelaでは、パイソンやクロコダイルの型押しレザーをよく使用します。下地に使われるのは、牛革や山羊革など様々です。下地の種類や表面の加工方法などにより、お手入れ方法が変わることもありますので、必ず素材を確認しましょう。
【お手入れ方法】- FREDA PINK PYTHONのような型押しゴートレザー編
まずはブラッシングで汚れを落とします。ブラッシングで落ちない汚れが付着している場合は水溶性のステインリムーバーで汚れを落とし、それから保湿と栄養補給をしていきます。
油分やロウ分が多いクリームを塗ると伸びが悪く、型押しの溝にクリームが溜まってしまうことがありますので、水分量の多いゼリー状のデリケートクリームでお手入れをすることをおすすめしています。
デリケートクリームを全体になじませたら馬毛ブラシでブラッシングをし、溝に残ったクリームを取り除きましょう。そして、最後に防水スプレーをかければ出来上がりです!
− FABRIC −
Sellenatelaでは、デザインに合わせてレザーではなく生地を用いることもあります。
レザーと違い、クリーナーやクリームでケアが出来ない素材になりますので、汚れが付着しないよう保護をすることが最も大切です。
【お手入れ方法】- SHANNON ファブリック編
素材に生地が使用されている靴は、生地用ブラシでブラッシングをしてこまめに汚れを落とし、定期的に生地にも使用できるタイプの防水スプレーをかけて、汚れが付着しないようケアしましょう。
例えばストレッチブーツ「SHANNON」の場合は、レザーと生地とを組み合わせているため、生地の部分はこの方法でお手入れをします。どうしても取れない汚れがついてしまった場合は、クリーニングに出すことをおすすめしています。
− 最後に −
Sellenatelaでよく使用されている素材ごとにご紹介したシューケア実践編、いかがでしたでしょうか?
靴に使われている素材や靴の状態によってもシューケアの方法は変わるもの。大事なのは、定期的に状態を気にかけて、必要なケアをしてあげること。シューケアの仕方が分からない、という時はお気軽にご相談ください。
Sellenatelaの「SHOE CAREのすすめ」が、お手持ちのシューズを長く愛用するためのヒントになれば幸いです。
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